必要な準備がわかる|配膳ロボット自律走行の仕組みと実際の運用方法
2023.06.01 (更新日:2024.01.15)
目次
近年、飲食店を中心に見かける機会が増えている配膳ロボット。店舗内を自由に走行し、テーブルまで配送するイメージがありますが、どのような仕組みで自律走行をしているのでしょうか。今回は、自律走行の仕組みと実際の運用方法までをご紹介します。
【配膳ロボットの仕組みとは】マーカー式とマッピング式
配膳ロボットの「自律走行」には主に2種類の方法があります。
「マーカー(タグ)」もしくは「マッピング」いずれかの設定をすることで、自由に店内を走行できるようになります。
「マーカー」は店内に自律走行の目印となるマーカーを設置する方法。天井マーカーが一般的で、配膳ロボットの進むルートの天井にマーカーを貼り付け、それをロボット上部の赤外線センサーが読み取ることで店内を走行します。大きな工事が不要かつ安定した走行が可能ですが、天井にマーカーを設置する必要があり、天井がフラットであること、天井の高さの制約などがあります。
一方「マッピング」はマーカーを取り付ける必要がなく、最初にマッピング作業をするだけで自律走行が可能です。ロボット自体の位置特定と環境地図の作成を同時に行うことで、ガイドなしで最適なルートを自律走行します。最近の配膳ロボットではマッピング式が増加中。店舗内のテーブルや椅子といった什器の配置も自動的に環境地図として構築し、そこから移動量を推定して走行してくれます。
マーカー式・マッピング式ともに、メーカーや販売代理店が導入のタイミングで作業してくれることがほとんどなので、店舗・施設で事前に必要な準備はありません。
配膳ロボットの実際の運用方法とは
マーカー・マッピングのいずれかの設定がされた機種は、どのような指示の元で自律走行をするのでしょうか。今回は配膳ロボットT5Proを例にとり、実際の運用方法をご紹介します。
1.配膳指示
まずは、スタッフにより配膳指示がされます。ロボットのトレーに配送物をセッティングしたら、目的のテーブル番号を選択。スタートボタンでロボットが移動を始めます。テーブル番号を入力してボタンを押すだけなので、スマートフォンと同じような感覚で簡単に操作できます。
2.移動
指示を受けたロボットは、指定されたテーブルまで走行を開始します。障害物や人もセンサーの検知により避けて走行するので安心です。
3.目的地到着
指定場所に到着したら、音声でロボットの到着をお知らせします。料理をトレーからおろし、完了ボタンを押すとロボットは待機場所へ帰ります。T5Proはロボットが受け取りを自動探知できるので、完了ボタンのタッチは不要です。
4.帰還
配送を終えたロボットは再び障害物や人を避けながら自律走行し、待機場所へ戻ります。
店内を自由に走行しているように見える配膳ロボットは、スタッフからの配送先の指定のみで、自律走行をしています。
配膳ロボット導入前にやっておくとおすすめな3点
ここまで配膳ロボットの自律走行の仕組みと実際の運用方法を紹介してきました。導入前にマーカーもしくはマッピングで地図を覚え、導入されたらボタンタップで簡単に使用できるとわかりましたね。
ここからは事前に準備しておくと便利なことを3点ご紹介します。いずれも、導入前に必ずやっておく必要はありませんが、事前に検討しておくと導入がスムーズに進みやすいです。
①段差・斜面など配送が難しそうな場所の洗い出し
配膳ロボットは、1cm程度の凹凸、3〜5°の斜面などは走行可能な機種が販売されています。
しかし、
- 毛の長いカーペット
- 大きめの段差
- 急な斜面
- 走行可能な幅以下の狭い通路
は走行が難しい、または不可能な場合があります。
そのため、走行が難しそうな場所は事前にリストアップしておき、メーカーや販売代理店に相談するのがおすすめです。走行が難しい場所を除外設定して通らないようにマッピングしたり、適切な運用方法を提案してもらうことが可能です。
②待機場所と配送先を決める
配膳ロボットの設定を行う際に、待機場所と配送先を設定します。事前にどこを待機場所(仕事がない時に待機する場所)・配送先に設定するのか決めておくと、導入がスムーズでしょう。
ちなみに、配膳用途でロボットを使う場合は、調理場近くに待機場所を設定し、できた料理をすぐに載せて配送できるようにしておきましょう。下げ膳用途で使う場合、客室フロアを待機場所にし、すぐにテーブルへ向かえるようにしておくと、効率的な配送が可能です。
また、テーブルのみならず、ドリンクコーナーや洗い場なども一緒に配送先設定しておくと、運搬作業でも配膳ロボットが活用できるのでおすすめです。
③オペレーションの再構築
配膳ロボットを導入する際に、スタッフとどのように役割分担するのかを事前に決めておきましょう。せっかくロボットを導入したのに、適切な 役割分担が周知されておらず、使用されないという状況を回避するためです。役割分担とオペレーションはアルバイトスタッフにもしっかり周知することが大切です。
まとめ
- 自律走行を可能にする2つの設定方法である「マーカー」と「マッピング」。
- 配膳ロボットは指示→移動→目的地到着→帰還 を繰り返すことで配送をこなす。スタッフはモノを載せてボタンタップするだけ。
- 事前準備は不要。しかし、配送が難しい箇所の洗い出し、待機場所・配送先を事前に決定して販売代理店に伝え、オペレーションを再構築しておくとスムーズに運用を開始できる。