
飲食店の人手不足を解消するには?データに基づく現状分析と解決策
2025.04.07 (更新日:2025.04.09)
飲食業界は、人手不足が深刻化している業界の代表格です。アフターコロナの現在、飲食業界は巻き返しをみせているものの、人手不足により店舗が回らないという声も少なくありません。閉店に追い込まれるケースも増えており、経営者にとって切迫した問題です。
今回は、飲食店に関する調査データを基に、人手不足の現状とその理由、解決策を解説します。サービスロボットによる人手不足解消に成功した事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
飲食店の現状は深刻な人手不足

飲食店は、長年に渡る深刻な人手不足に陥っています。「株式会社 帝国データバンク」が2024年に実施した調査によると、飲食店における非正規社員の人手不足の割合は64.3%です。飲食店は少数の正社員と多数の非正規社員で店舗を回しているケースが多いため、差し迫った問題であることが伺えます。
また同社の別の調査結果によると、2024年に閉店した飲食店数は前年比16.4%となる894件であり、過去最多を更新しました。飲食店の閉店が増えた背景には、業界全体の慢性的な人手不足があります。
人材獲得のための賃上げといった人件費負担の増加は飲食店の経営を圧迫する要因の一つです。特に、競争力の弱い中小規模の飲食店は、今後も倒産・休廃業の危機にさらされると考えられます。
これから飲食業界で生き残るには、少ない人手で業務を回す仕組みの構築が不可欠です。
飲食店が慢性的な人手不足に陥っている3つの理由

飲食店に人手が集まらない理由として、次の3つの構造的な要因が挙げられます。
- 過酷な労働環境
- 低水準の賃金
- 利益率の低さ
過酷な労働環境
飲食店の従業員は、多種多様な仕事を非常にタイトなスケジュールでこなす必要があります。忙しすぎて、休憩や休暇も十分にとれないケースもめずらしくありません。
特に飲食店は、立ち仕事が基本のため身体的な負担が大きく、長時間勤務や残業、夜間労働も多い業種です。そのため若者や現役世代が定着しづらく、外国人・シニアといった層は法的もしくは身体的に雇用の制約が厳しいため、新たな人手を雇い入れるのも困難です。
また中小規模の飲食店は、新人やアルバイトの研修期間が短い傾向にあります。業務内容がよく把握できてないうちに現場へ出され、ベテランスタッフと同じ責任を背負わされるケースもあるようです。人手不足がゆえに業務内容が過酷になり、さらにスタッフが集まりにくくなるという悪循環に陥っています。
低水準の賃金
飲食店の賃金が低い傾向にあることも業界全体の人手不足を加速させる要因となっています。
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、飲食サービス業の平均賃金は全業種中最低の約26万円です。年齢に比例した賃金の上がり幅や勤続年数も低い水準にあり、経験を積んでも状況が改善しないことが伺えます。
また、業務負担に対するリターンが少ないとモチベーションの維持が困難です。やりがいが感じられないと離職者が増えるため、人手不足がさらに悪化します。
利益率の低さ
飲食店は賃料、食材費などの固定費の高さにより、利益率の低い業種です。そのため、人件費に回せるほどリソースに余裕がありません。特に小規模店舗や個人店の売上および利益率の低さが顕著であり、常に最低限のスタッフで回している状況です。
また、飲食店は対面での接客を前提とするため、感染症といったリスクに弱い傾向にあります。先の新型コロナウイルス感染症の流行で、逆風にさらされた飲食店が多かったことも記憶に新しいのではないでしょうか。
売上が増えないことには、人件費は増やせません。くわえて、近年の最低賃金の上昇が、飲食店の経営をさらに圧迫しています。人件費に予算が割けないと、従業員教育も不十分になりがちです。サービスの質が低下すると顧客満足度が下がり、売上に悪影響を及ぼすという負のループが生じるでしょう。
飲食店の人手不足の解決策
飲食店の人手不足を解消するためには、次の5つの対策が有効だといえます。

- 待遇や評価制度を改善する
- 採用する人材の範囲を広げる
- 従業員に成長の機会を提供する
- システム化による業務効率アップを図る
- サービスロボットを導入する
待遇や評価制度を改善する
新規採用を増やしたいなら、雇用条件の見直しが必要です。有給休暇や各種サービスといった福利厚生を充実させるとともに、評価制度を見直し、努力が正当に評価されるシステムに改善することをおすすめします。
例えば、評価制度を見える化し、透明度を高めてみてください。従業員の信頼感が高まるうえ、モチベーションアップにも効果的です。従業員が働きやすい環境を整えば、長い目でみて人手不足の解消につながるでしょう。
採用する人材の範囲を広げる
求人を出しても人が集まらない場合は、採用する人材の幅を見直してみるとよいかもしれません。シニア層や子育て中の女性、外国人など、これまで採用範囲に含めていなかった人材を積極的に募集することで、人が集まる可能性が高まります。
あわせて、短時間勤務の希望者や限定的な業務、リモートワークなどを導入するのもおすすめです。多様な働き方ができる環境を整えることで、さまざまな人材が集められるようになります。
従業員に成長の機会を提供する
従業員がスキルアップする機会の提供は、雇用側が積極的に取り組むべき先行投資です。人は、成長の機会を与えてくれる存在に信頼感や愛着を抱きやすいため、従業員のロイヤリティ向上が図れます。業務マニュアルを導入するのはもちろん、新人でも分かりやすい教育制度に整えることが大切です。
また現在は、経済産業省の主導で「リスキリング」が推奨されています。リスキリングとは、新たな分野の知識や技術、資格を取得するための学び直しのことです。従業員のレベルが上がれば、労働者だけではなく、会社にとっても大きな利益となります。社内・社外の資格取得を推奨するなど、進んで学べる環境を整えるとよいでしょう。
システム化による業務効率アップを図る
業務の一部を機械化し、単純な作業のDX化を図れば、少ない人手でも店舗が回せるようになるでしょう。飲食店で活用できるシステムとして、次の例が挙げられます。
- 予約システム
- モバイルオーダー
- キャッシュレス決済
- AI自動音声応答
業務をアナログからデジタルに切り替えることで、従業員の負担が減ります。また、時間を問わずいつでも顧客対応ができる体制が整うため、集客効果も上がるでしょう。
サービスロボットを導入する
飲食業の人手不足を解消するには、サービスロボットの導入をおすすめします。配膳や荷物の運搬、清掃といったルーティンワークをロボットに任せれば、従業員の負担が大幅に減るためです。
またサービスロボットには教育が必要なく、人手とは異なりサービスの品質にムラがないのもメリットです。一度にたくさんの業務をこなし、人では困難な大容量の配膳・運搬や広範囲の清掃が可能なため、業務効率が上がります。従業員はより生産性の高い業務に集中させられるため、利益アップが見込めるでしょう。
ロボット導入にはコストがかかりますが、従業員を新たに雇用する人件費や育成コストと比べると圧倒的に安価です。休憩を与える必要もないため、アイドルタイムも削減します。
サービスロボット導入の資金が足りない場合は、業務へのIT機器導入の際に申請できる補助金や助成金を活用するとよいでしょう。
こちらのコラムでは、飲食店におけるお掃除ロボットの活用法を解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
飲食店の人手不足の解消にロボットを活用した成功事例4選
ここからは「ROBOTI」のサービスロボットを活用し、人手不足の解消に成功した事例を4つ紹介します。
鶏彩 北上尾店 様の事例

「鶏彩 北上尾店」様は、埼玉県に店舗を展開する飲食チェーン。課題となっている人手不足とそれにともなう従業員の負担増加の解消のため、業務用清掃ロボット「RACLEBO slim」を導入しました。本体・ステーションともにコンパクトで、カーペット床からホールまですべて楽々清掃。タイマー設定により夜間に掃除が完了するため、清掃業務に割く人手と時間が不要になりました。
タリーズコーヒー&TEA KITTE 丸の内店 様の事例

「タリーズコーヒー&TEA KITTE 丸の内店」様では、人手不足によるクローズ時間の遅延という悩みを抱えていました。イスの下まで楽に潜り込める小型清掃ロボット「RACLEBO」は、家具や設備が入り組んだカフェ店舗と好相性。ブラシ・モップ・掃きの3段階清掃が可能なので、ホコリ・チリや液体、黒ずみなどさまざまな汚れも全自動できれいにできます。手作業とうまく組み合わせることで業務負担を軽減し、クローズ時間の大幅短縮に成功しました。
箱根小涌園ユネッサン「焼肉 然」様の事例

箱根小涌園ユネッサン内に出店している「焼肉 然」様は、新規オープンにあたって、スタッフが集まらないことに悩みを抱えていました。そこで、大容量型の配膳ロボット「T5」を導入。スタッフの負担が軽減し、少ない人数でも店舗が回せるようになりました。また操作も簡単で、手間がかからないので助かるという声が寄せられています。
焼肉たいへい門米子店 様の事例

テーブルオーダーバイキング形式の「焼肉たいへい門米子店」様。中心街に店舗を構えているためスタッフがなかなか集まらず、さらにコロナ禍がそれを加速させていました。そこでトレー検知機能で自動帰還できる「T8」を導入して配膳業務を省人化。来店客とロボットが交流する光景も、店内の和やかな雰囲気づくりにつながっているそうです。
まとめ
飲食店は、構造的な問題から業界全体が慢性的な人手不足です。人材が集まりやすい体制づくりと、システムを活用した業務効率化および省人化に踏み切ることで、不足した労働力が補えます。
少ない人手で店舗を回すポイントは、サービスロボットの活用です。配膳・清掃のDXとしてサービスロボットの導入を検討する際は、ぜひ一度「ROBOTI」にご相談ください。業界トップクラスのラインナップから、店舗の状況や課題に応じて最適なサービスロボットを提案します。
[出典]/株式会社 帝国データバンク/人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)/https://www.tdb.co.jp/report/economic/20241113-laborshortage202410//
[出典]/株式会社 帝国データバンク/「飲食店」の倒産動向調査(2024年)/https://www.tdb.co.jp/report/industry/20250114-insyokutousan//
[出典]/厚生労働省/令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/dl/05.pdf/