
製造業はIT化が急務!トレンドの背景や今後の課題を解説
2025.05.26 (更新日:2025.06.09)
目次
幅広い業界でIT化が進む中、製造業にもその波が押し寄せ、最先端のITツールが次々と登場しています。ただ、工場へのIT設備・システム導入が進みつつあるものの、世界的にみると遅れているといわざるを得ない状況です。
今回は、製造業でIT化が推進される理由と導入のメリット、国内における今後の課題を解説します。製造業DXの最新トレンドを押さえて業務改善に活かしたいと考えている方は、ぜひチェックしてください。
製造業のIT化が推進される背景

近年、製造業のIT化が推奨されているのは、世界規模でのDX推進が背景にあります。爆発的に増加する膨大なデータを取得・活用するためには、業務のIT化が欠かせません。
ITやデジタル技術を活用したDXは、国を挙げて推進されている事業でもあり、旧型の生産体制やビジネスモデルからの変革が求められています。また、DX推進に伴うニーズの多様化と競争の激化、製造業における人手不足の深刻化も一因です。
現状を維持するだけでは、熟練の人材の引退や、システムの従来のシステムのサポート終了などにともなう経済的損失は避けられません。経済産業省の調べでは、2025年以降、年間最大12兆円にも上る経済損失となる可能性が示され、IT化への早急な対応が求められています。
製造業の工場における最先端ITシステムの活用事例
次に、製造業の工場で活用が進んでいる最先端のITシステムにはどのようなものがあるのかみていきましょう。
生産管理システム

生産管理システムとは、製造工場における生産のプロセスを一元管理するITソリューションです。製造業に特化した生産管理システムの例として、SCM(サプライチェーンマネジメント)やPDM(製品データ管理)、PLM(製品ライフサイクル管理)などが挙げられます。
生産管理システムには、製造から販売、経理、従業員の勤怠管理まであらゆる機能が搭載されており、システム間や部署間での連携も可能です。現場へ導入することで、アナログ管理と比べ格段に業務効率がアップするため、省力化とコスト削減が実現できるでしょう。
クラウド

クラウドとは「クラウドコンピューティング(Cloud Computing)」の略語であり、インターネット経由でさまざまなサービスが利用できるソリューションです。インターネット環境さえあれば、いつでもどこでもあらゆるユーザーがタイムリーに情報を共有できます。ハードウェアやソフトウェアなどのインストールを必要とする従来のオンプレミス型のシステムとは異なり、導入費用が抑えられるのもポイントです。
近年は、インターネット上の仮想空間である「メタバース」と連携した3Dモデリングや働き方改革などの注目度も高まっています。
IoT

IoTとは「Internet of Things」の略語であり、モノのインターネット化を意味します。簡単にいうと、インターネットに接続された機器の総称です。製造業の工場の設備をIoT化すれば、生産工程の見える化と各種データ収集の自動化、遠隔保守などが実現します。スマートファクトリー化による生産性と業務効率の向上、コスト削減などの効果が得られるでしょう。
AI自律制御システム

AIとは「Artificial Intelligence」の略語であり、日本語訳では「人工知能」となります。製造工場にAIを導入すれば、アルゴリズムを利用した正確性の高いデータ分析・蓄積や需要・在庫予測管理、品質検査などが可能です。最新トレンドである生成AIを活用している事例もあり、設計やプログラムのコーディング、計画書・報告書の作成など、すでにさまざまな業務に役立てられています。
ロボット

近年、製造業の工場における業務効率化を目指し、産業用ロボットやサービスロボットを導入する事例が増えてきています。ロボットによる業務の自動化を「RPA(Robotic Process Automation)」といい、少ない人手でさらなる生産性の向上が目指せるITソリューションです。
ロボットなら、人の手ではできない危険な作業や重労働なども任せられます。作業の品質が一定で、ヒューマンエラーも減らせるため、生産性や商品の品質向上に直結するでしょう。
製造業がIT化を進める5つのメリット

続いて、製造業の工場でIT化を進めるメリットを、5つの視点に分けて考えていきましょう。
1.生産性がアップする
IT化により、業務の自動化・標準化が進み、製造業の現場の生産効率が改善します。少ない労力で多くの商品が製造できるようになるうえ、無休での稼働も可能になり、生産性がぐっと高まるでしょう。
2.人手不足が解消できる
製造業の現場へITを取り入れることで、人の手を必要とする業務の範囲が縮小します。適材適所の人員配置が可能になり、少ない人手で現場を回せるようになるはずです。
3.商品の品質が向上する
製造業のチェック体制にITを組み込めば、より精密な検査体制が構築され、製品の品質向上につながります。個体差による品質のバラつきがなくなるので、出荷後の不良品回収のリスクも最小限です。
4.情報や在庫が管理しやすくなる
製造業の管理業務をIT化すると、材料や部品、在庫などの過不足状況がタイムリーに確認できます。余剰在庫を抱えることがなくなり、管理スペースやコストの削減につながるでしょう。
5.高付加価値の商品が生み出せる
IT機器導入により少ない人手で現場が回るようになれば、新製品開発といったより高付加価値な業務に注力できるようになるでしょう。またIT化でリサーチやデータ分析が容易になるため、それを活かしたよりよい製品が生み出せる可能性が高まります。
製造業におけるIT化の現状

現在、国内では製造業DXが精力的に進められている最中です。「2024年版ものづくり白書」によると、国内製造業の83.7%がデジタル技術を活用していると回答。2019年時点の割合と比べ、約1.7倍と大きく上昇しています。また総務省の調べでは、世界でICT市場が拡大する中、日本全体のIT化のための投資額は徐々にではありますが右肩上がりです。
ただ、アメリカをはじめとする諸外国と比べると、日本の情報化投資額は横ばいに近い伸び率であり、遅れていることが伺えます。特に中小企業におけるデジタル化の遅れが顕著であり、国内でも規模による格差が広がっていることが分かりました。
製造業のIT化に遅れを生じさせる要因と解決策

ここでは、国内製造業のIT化に遅れを生じさせる要因と、その解決策を解説します。
リソースがない
IT化には、設備やシステムの導入が必要であり、その費用と活用できるITエンジニアを確保しなければなりません。しかし、投資コストのリソースが確保できない企業も多く、IT化が思うように進んでいない状況です。
また、現場でITの導入基盤が整っていないケースも少なくありません。既存の設備やシステムとの連携が難しく、IT化の推進を断念せざるを得ないという声も上がっています。
製造業のIT化における費用面の不足をカバーするには、次のような助成金・補助金の活用が有効です。
- IT導入補助金
- 中小企業省力化投資補助金
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
また、IT化により生産性や業務効率が向上すれば、少ない労力でより多くの商品が製造できるようになるため、投資に回す余裕が生まれるでしょう。
情報を知らない
企業や現場における情報の不足も、製造業のIT化を妨げる要因の一つです。特に中小企業では、人手や時間、予算の不足から教育に充てるリソースにも余裕がないというケースもめずらしくありません。
情報・知識不足の解消には、マニュアル作成とその周知徹底が求められます。また、IT人材の採用および受け入れ、教育への投資は将来的な競争力の獲得に欠かせない要素です。業務効率化や省人化などによるリソースの捻出と、IT化のためのプロジェクト立ち上げが求められます。
理解が得られない
経営陣や関係部門、現場でのIT化に対する不理解が、製造業のIT化を妨げています。従来システムや業務フローの刷新に対し、これまでの体制や慣れたやり方を変えることへの抵抗感を覚える社員もいるようです。
IT化に対する抵抗感を減らすには、社内全体の意識改革が求められます。自社の課題とIT化の有用性を費用対効果も踏まえて今後の方向性を明らかにし、そのビジョンを全社員に共有して理解を深めていきましょう。
製造業の工場・現場の運搬・清掃業務は「ROBOTI」でIT化!

生産効率の改善や人手不足の解消といった製造業の慢性的な課題の解消には、サービスロボットによる省人化が推奨されます。工場や倉庫内の運搬・清掃などの身体的負荷の大きな業務をロボットで代替することで、コストカットと働きやすい環境整備が実現します。
製造業の現場へのロボット導入のポイントは、適材適所の機種選び。現場の状態やまかせるタスク、現場の広さおよび障害物の多さ、操作方法など、さまざまな要素を踏まえて自社に最適な機種を選定することが大切です。
例えば、運搬業務では運ぶものの量や大きさ、重さによって適したロボットが異なります。また清掃ロボットでは、広範囲の清掃には機能がパワフルな大型、入り組んだ狭い範囲の掃除なら小回りの利く小型といった使い分けが必要です。
「ROBOTI(ロボティ)」では、現場の課題や状況を丁寧にヒアリングし、豊富な品揃えから最適なロボットと導入プランをご提案。ロボット選定やトライアル、保守運用サポート、助成金・補助金の申請に関する相談など、お客さまの「あったらいいな」を叶えます。
まとめ
製造業の工場や倉庫のIT化を進めれば、業務効率アップや生産性の向上、余剰在庫の削減などさまざまなメリットが得られます。導入の基盤を整えるとともに、助成金・補助金を活用して賢くIT化に取り組みましょう。
運搬・清掃業務のDXなら「ROBOTI」へ。相談だけでも喜んで承りますので、まずは一度お気軽にお問い合わせください。
[出典]/経済産業省/2024年版ものづくり白書/https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2024/pdf/all.pdf/
[出典]/総務省/令和6年版情報通信白書/https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/pdf/00zentai.pdf/