
飲食店のIT化戦略とは?ICTツール・システム活用術とDX成功までの道のり
2025.05.23 (更新日:2025.05.30)
目次
現代の飲食業界は、人手不足の解消や業務効率の改善といったさまざまな課題を抱えています。店舗が回せるギリギリの人員しかおらず、特定の従業員に負担がのしかかったり、ミスやサービスの品質低下を招いていたりするケースも少なくありません。こうした飲食店の構造的な問題を解決できる手段こそ「IT化」です。
今回は、ITツールを利用した飲食店DXについてまとめました。飲食店で活用できるデジタルツール・ICTシステムとその活用法、導入事例も紹介します。
飲食店にIT化が推奨される理由

飲食店にIT化が推奨されるのは、デジタルツールやシステム、ICTの活用により次の5つのメリットが得られるからです。
- 業務効率が上がる
- 人手不足の解消につながる
- データの管理・分析が容易になる
- 幅広く集客できる
- 顧客満足度がアップする
業務効率が上がる
飲食店がIT化を進めることで、注文への対応や会計処理などの業務効率がよくなり、店舗の回転率が上がります。売り上げや従業員のシフトなども一元化できるようになるため、管理の手間が大きく軽減するでしょう。
人手不足の解消につながる
従業員を新たに雇う代わりにIT機器を導入すれば、少ない人手で店舗が回せるようになるほか、最適な人員配置が可能です。また、個々の従業員が効率よく業務をこなせるようになり、労働生産性が上がる効果も期待できます。
データの管理・分析が容易になる
売上や顧客データなどをIT化することで、情報管理が容易になります。複雑な数値計測・集計などがオートメーション化し、データ分析も一元化できるため、マーケティング戦略の立案にも活かせるでしょう。
幅広く集客できる
宣伝・広告の分野にIT化を取り入れると、より幅広い層へ効率的に自社を訴求することが可能です。WebやSNSを通して全世界へ向けて情報が発信できるほか、予約の対応時間も拡大します。
顧客満足度がアップする
注文や予約、会計などのシステム化により、非接触での接客やオペレーション改善が可能になり、利便性向上と待ち時間の減少につながります。またITツールやシステムがこなす業務は常に一定で、人の手のようにバラつきがないため、ヒューマンエラーの減少にも貢献するでしょう。
飲食店でIT化できる業務の例

飲食店の業務のうち、IT化によるDXが可能な部門は次のとおりです。
- オーダー・配膳・清掃などのホール業務
- 会計・売上管理
- 集客・販促および予約
- テイクアウトやデリバリーの注文受付
- 従業員のシフト管理
- インバウンド対策
オーダー・配膳・清掃などのホール業務
ホール業務をIT化すれば、業務効率を大幅にアップさせ、サービス品質の向上にも直結します。
飲食店DXに活用できるツールの例は、以下のとおりです。
- モバイルによるセルフオーダーシステム
- 順番待ちシステム
- 配膳ロボット
- クローズ後・オープン前の清掃作業に使えるお掃除ロボット
注文・案内といったオペレーションや配膳、清掃といった業務の一部をITシステムやロボットで代替することで、スピーディーかつスムーズな対応が実現します。従業員の負担が軽減し、最小限の人手で店舗が回せるようになるでしょう。
会計・売上管理
会計・売上管理のIT化は、飲食店でもポピュラーなDXの例です。具体的には、次のシステム機器の導入が挙げられます。
- POSレジ(ポスレジ)
- セルフレジ
- キャッシュレス決済システム
会計処理をセルフ化すれば、混雑防止および従業員の負担軽減が可能です。さらに顧客情報の管理や在庫管理、売上分析などさまざな業務が一元管理できます。
集客・販促および予約
日本人の大半がモバイル端末を利用している現代において、飲食店の集客・販促にはITツールが必須です。集客や販促に活用できるITツールには、次のようなものがあります。
- 公式Webサイト・アプリ
- SNS
- 予約管理システム
- グルメサイトへの情報掲載
ITツールは、広範囲へのアピールや、予約プロセスの短縮化に効果的な手段です。記入ミスやダブルブッキングなど、管理上のヒューマンエラーが減らせます。予約客へのリマインドも自動化できるため、急なキャンセルや無断キャンセルも防げるはずです。
テイクアウトやデリバリーの注文受付
中食需要が高まっている現代では、テイクアウトやデリバリーの予約および注文受付のIT化が重要な課題の一つです。店舗専用の管理システムを導入するほか、宅配サービスに出店する方法もあります。テイクアウト・デリバリーといった業務をIT化すれば、サービスの利便性が向上し、売上アップやリピーター創出につながるでしょう。
従業員のシフト管理
近年は、従業員のシフト管理のIT化が進んでいます。情報共有ができるITツールにより、打刻のプロセスが簡易化し、多様な働き方のスタッフを抱える飲食店における従業員管理の効率アップが可能です。また従業員への連絡の周知徹底が強化され、伝達ミスや行き違いが減る効果も期待できます。
インバウンド対策
ITツールを活用すれば、近年急増する外国人観光客への対応拡充という課題の解決もスムーズになります。例えば、集客にSNSやインターネット広告を活用することで、メニューやサービス内容、店舗の魅力を全世界へ向けて発信することが可能です。また予約システムのIT化により、時差にかかわらず24時間体制で受付できます。来店時には、インターネット環境の整備や、自動翻訳システムおよびAIなどを活用した多言語対応で、顧客満足度の向上が図れるでしょう。
飲食店におけるIT化の現状分析

ここで、飲食店におけるIT化の現状と今後の課題を確認しておきましょう。
ITツールを活用している飲食店の割合
飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)のリサーチによると、調査対象379名の飲食店のうち、約8割がすでにデジタルツールを導入しています。
最も多く導入されているITツールは、会計・売上管理システムです。また、予約・集客・販促システムやテイクアウト・デリバリーに関するシステムも導入が進んでいます。
一方、現在まだ事例の少ないホール業務に関するITツールは、今後の狙い目です。現場の満足度が高いことから、高い運用効果が実感できるでしょう。
飲食店DXの今後の課題
飲食店では業務のIT化への関心が高い一方で、人員・人材や予算といったリソース不足により、新たなデジタルツールの導入に至っていないケースもめずらしくありません。したがって、少ない人手で幅広い業務がまかなえるツールの選定と導入費用の確保が今後の大きな課題です。
また、飲食店にデジタルツールを取り入れること自体がIT化の目的ではありません。IT化は、DXのために必要なことではありますが、あくまでもプロセスの一つ。ITツールを導入して、新たな付加価値を創出することが求められます。
飲食店がIT化を進める4段階のプロセス

ここでは、飲食店におけるIT化の進め方を解説します。
1.自社の課題を明確化する
はじめに、自社の課題を明確にします。注文対応や配膳、会計など、どこに課題を抱えているのかが明らかになれば、IT化すべき業務がみえてくるはずです。
2.予算を立てる
次に、IT化に使える予算立てを行います。なお、飲食店向けのITツールの費用相場は、機器の種類によっても異なりますが、一般的には100万円〜です。そして、飲食店における経費の割合は、売上の約50〜60%が好ましいといわれています。ほかの経費とのバランスも考慮しつつ、IT化にどれくらいの予算が確保できるかを考えましょう。
3.導入するICTツール・システムを選定する
続いて、店舗に導入するITツールを選定します。例えば、オペレーション改善には予約・受付や会計システムのIT化、清掃DXにはロボット掃除機の導入など、どの部門を見直すか決めましょう。自社の課題と予算の兼ね合いをみながら、複数社に相見積もりをとって最適なツールを選定してください。
4.実施する
IT化の準備が整ったら、デジタルツールを現場へ導入します。導入後は数カ月〜半年程度を目安に導入効果を分析し、業務フローをより良いものに改善していきましょう。
飲食店が業務をIT化する際のポイント

ここからは、飲食店における業務IT化の成功のポイントをお伝えします。
従業員教育を徹底する
飲食店がIT化を進める際は、従業員教育を徹底することが大切です。従業員が機器の操作に不慣れだと、現場の混乱やミスにより業務効率が悪化し、ひいては顧客満足度の低下を招きかねません。事前にマニュアルを作成し、機器の導入およびその操作方法を周知徹底しておきましょう。
ホスピタリティを高める
IT化は飲食店の業務効率化につながる反面、サービスが味気ない印象になる恐れがあります。現代の飲食店に重要なのは「QSC+H」。QSC+Hとは、クオリティ(Quality)サービス(Service)クリンネス(Cleanliness)にホスピタリティ(Hospitality)を加えた概念です。メニューや接客の質、清潔さを保つだけではなく、おもてなしを充実させることで、多くの顧客に支持されます。
補助金や助成金を活用する
飲食店がITツールを導入する際、一定の条件を満たせば補助金や助成金が申請できます。IT化にあたって申請できる補助・助成制度の例は、以下のとおりです。
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
補助金・助成金をうまく活用すれば、費用を抑えてITツールが導入できます。
飲食店の配膳・清掃のIT化をバックアップする「ROBOTI」
飲食店の配膳・清掃のIT化は「ROBOTI(ロボティ)」の業務用サービスロボットにおまかせください。以下では、弊社のサービスの特長と、支援実績を紹介します。
ROBOTIとは?
「ROBOTI」は、業務用配膳・清掃ロボットの選定と保守運用をお手伝いするサービスです。導入前のトライアルや現場への設置、操作指導など、導入にかかわるあらゆるプロセスをワンストップでサポートします。
弊社の強みは、業務用配膳・清掃ロボット業界トップクラスの品揃え。メーカー直販価格でリーズナブルなオリジナル機種をはじめとする多彩なラインナップから、導入目的や現場の状況に応じて最適なロボットを選定します。オリジナルデザインシール作成に対応している機種もあり、現場のかわいいマスコットになること間違いありません。
購入のほか、レンタルにも対応。予算に合わせて、ぴったりのプランを提案します。また、煩雑で分かりづらい補助金・助成金の申請のアドバイスも可能です。配膳・清掃業務に関する課題を抱えている飲食店の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
ROBOTIによる飲食店DX事例
続いて、飲食店における「ROBOTI」の支援実績を紹介します。
「タリーズコーヒー&TEA KITTE 丸の内店」様の事例

人手不足によるクローズ時間の遅延という課題を抱えていた「タリーズコーヒー&TEA KITTE 丸の内店」様。現場のホコリ吸引から黒ずみ落としまで1台でこなすROBOTIオリジナルの「RACLEBO」を導入し、クローズ時間の大幅短縮に成功しました。
「箱根小涌園ユネッサン『焼肉 然』」様の事例

当時新店舗のオープンを控えていた「箱根小涌園ユネッサン『焼肉 然』」では、土地柄スタッフが思うように集まらないことに頭を抱えていました。ROBOTIを通して配膳ロボット「T5」を導入することで、最小限で回せる業務体制を実現しています。
「kin no buta」様の事例

慢性的・将来的な人手不足への懸念から、業務用清掃ロボットの導入を検討していた「kin no buta」様。狭い場所にもスイスイ入り込み、頑固な汚れがきれいに落とせる「RACLEBO」にご満足いただいたことから、他店舗への導入も進めています。
まとめ
競争激化と人手不足が深刻化する飲食業界で生き残るには、IT化による業務効率の改善が求められます。会計・売上管理や集客・予約システムの導入が当たり前になりつつあることを踏まえると、次の課題は配膳・清掃といったルーチンワークのDXです。
「ROBOTI」では、業務用配膳・清掃ロボット導入にかかわるあらゆる課題の解決を支援しています。些細な疑問・質問にも喜んで対応しますので、ぜひ一度お問い合わせください。
[出典]/飲食店リサーチ/飲食店DXのリアルを調査。予算や人材不足などがデジタルツール導入の障壁に/https://www.inshokuten.com/research/company//